よく遺言信託とか遺言代用信託などの質問を受けます。
似たような言葉が飛び交っておりますし、質問される方も混乱していますので整理してみます。
遺言信託
これは信託銀行が行うサービス名を指すことがほとんどのようです。法律用語ではありません。
遺言書の作成、保管、遺言の執行まで銀行で手配してくれるサービスです。
なかなか高額なようですが、銀行側で相続事務の一切を仕切ってくれるので相続人の方は楽でしょう。CMに有名芸能人を使用するので銀行の手数料が高いのではないかと推察しています。
同様のサービスは弁護士、司法書士も行っています。
信託ってつくけど「信託法」は使わないです。ややこしいですね。
遺言代用信託
これは信託法の信託です。
信託法では、託した財産の行方を指定しておくことができます。
「私が亡くなったら財産を長男に渡してください。」という遺言書と同じことができます。
不動産を確実に特定の相続人に渡したい時は、遺言書より信託の方が効力は高いと思います。
信託法で遺言書と同じような効果を狙った信託の形を遺言代用信託と呼んでいます。
これも法律用語ではなく業界用語です。
受益者連続型信託
これは遺言代用信託と似ていますが、「私が亡くなったら財産を長男に渡してください。その長男が亡くなったらその長男(孫)に財産を渡してください。」といった形で、財産を受け取る人が連続している形態の信託を言います。
お孫さんの代までアパートを残したいというリクエストは多いですので、こういった方は受益者連続型の信託がよいでしょう。
遺言による信託
信託がスタートするきっかけとして、もっとも多いのが「契約」です。
ですので、ほとんどのケースは委託者と受託者で信託契約を締結します。
信託法には契約以外でも信託のスタート方法が定められています。
その1つが「遺言」によって始まる信託です。
遺言書に「あたな(受託者)に私の財産を託します。受益者は長男です。彼のために財産を管理、運用してください。」という旨を書きます。
そして遺言書を書いた人が亡くなったら遺言書の効力が発生して信託が開始します。
遺言書でスタートする信託が「遺言による信託」と呼びます。
遺言+信託 の解説でした。