信託用口座をつくって管理しましょう!
という信託の書籍やセミナーが多いのか、「信託用口座をつくってください!」と頼まれることが多い。
ここでいう信託用口座とは、「信託財産として独理性を持った口座」を指します。
民事信託では委託者のお金を預金として管理することが多いのですが、そのために受託者が管理用の口座を開設します。
その管理用の口座が「信託口座」=「信託財産として独理性を持った口座」であってほしいというリクエストです。
受託者が死亡しても、破産しても口座が凍結されることなく、差押えも受けないという性質があるので
お金を預ける委託者からすれば安心できるのは確かだと思います。
現状、この特殊な口座開設はどこの金融機関も対応するわけではなく対応するところは少ないです。
銀行が応じてくれない
信託が専門の信託銀行も最近は内部基準を高くしたのか、一定金額の預金をするか、その見込みが無いと口座開設に応じてくれないこともあります。
これはイジワルではなく、口座開設に慎重にならざるを得ない国際的な事情もあるのだと思います。
FATFというマネー・ローンダリング、テロ資金供与対策対策などに取り組む主要国の連携組織から、
過去に「スキが多い!」という指摘を受けており、日本の金融システムの安全性が危ぶまれたことがあります。
それはまずい。国際金融業界から仲間外れにされる。。。
ということで、ただちに金融機関のルールの厳格化が実施されました。
そして昨年、また調査が入りましたので日本の金融業界は、マネー・ローンダリング対策のさらなる強化を迫られていることでしょう。
こういった背景もあり口座開設自体のハードルが高くなっているのだと思います。
ちなみに、法人をつくる際にも本人確認の手順が増えました。
会社をつくる人が反社会的勢力に関係する人間か、公証役場にて調査をしているようです。
また、司法書士の本人確認義務も重く問われるようになっております。
でも管理の口座は必要
ですよね。
受託者は自分の財産と信託用に預かった財産をしっかり分別して管理することが求められます。
信託法の条文には信託用口座で管理しないといけないとは書いてありません。
確かに、格式高い信託用口座があればいいですが、きちっと分けて管理ができていればOKであると考えます。
信託する財産のボリュームや、契約内容によるでしょうが、「信託用口座」にこだわらなくてもいいでしょう。
細かな法律上の検討が必要な分野でありますが(とっても難しいです)、とりあえず「委託者A受託者B」という口座でなくとも信託契約は成立するとお考えください。