民事信託とは?

民事信託(家族信託)を一言で言うと、「私の財産をあなたに託します。だから家族や私を頼みます」という契約です。
つまり、財産の管理だけを子供に任せ、その収益は親が受け取る、ということが法律上正式な形で可能となります。
“財産を管理する人”と“利益をもらう人”を分けることにより、財産の管理に関わる様々な不安や悩みを解決することができるようになったのです。
目次
- 信託とは?
- これまでの法律での課題
- 民事信託(家族信託)のすごいところ
信託とは?
信託とは、自分の財産を他人に託して、一定の目的のために財産を管理、運用、処分してもらう契約です。
他人に託した財産から得られる利益は、自分や誰かに渡してもらうことができます。
もともとは、海外の歴史の中で、戦地に赴く兵士が、家族の生活のために、信頼する人に財産を預け、その財産の運用益で家族を養ってもらうことをしていたのが信託のルーツの1つと言われています。
日本ではお金を信託して、運用してもらう投資信託などは馴染みがありますね。
信託契約の種類の中で、一般人同士、特に家族間で信託契約をすることが多いので「家族」信託という名前がついています。
民事信託(家族信託)を一言で言うと、「私の財産をあなたに託します。だから家族や私を頼みます」という契約です。
民事信託(家族信託)をすることにより、財産の管理だけを子供に任せながら、収益は親が受け取ることが、法律上、正式な形で可能になります。
これまでの法律の課題
これまでの法律では、財産を持っている人(所有者)は、管理権限と利益を得る権限のどちらも持っていることが基本の考え方です。
すると、財産を持っている所有者が、認知症になったり、死亡したときに、財産の管理や処分で困ることがありました。
例えば、アパートなら、修繕などの管理と、賃料をもらう権利が所有者にあります。すると、所有者が認知症になると、修繕が難しくなります。また、相続で財産が高齢な配偶者に渡ってしまうと、そこでもまた管理が難しくなる場合があります。
その大きな原因は、管理・処分権限と利益を得る権利は分離できず、常に所有者が持つためです。
民事信託(家族信託)のすごいところ!
ところが、民事信託(家族信託)を設定すると、財産の管理・処分を信頼できる人に任せて、利益を得る権利を自分が指定する人に渡せます。
アパートなら、修繕や不動産業者とのやりとりは子供に任せ、賃料は自分が指定する人に代々受け継がせることができます。
信託をすれば、管理・処分権限と利益を得る権利を分離でき、自分の指定する人に渡せるためです。
このように、財産を管理する人と利益をもらう人を分けることができることにより、財産の管理方法の様々な不安や悩みを解決できるようになりました。
現代では、特に親の介護の準備や、相続の紛争予防など、財産や権利を確実に承継し、財産や権利を守ることに大きな効果がある法律なのです。